60歳から刻書を始めて20年、その魅力にとりつかれ、作品数は大小取り混ぜて143点になります。
思いますに、趣味として刻書を選んだことを正解と思っております。それは、生活の中での節目々々に刻書作品を贈呈させて頂き、皆に大変喜ばれていることであります。
私の中学時代の恩師、孫の幼稚園の先生の転勤やご結婚、友人の子供さんのご結婚やご出産等々、特にご出産では子供の名前の下に落款と一緒に彫る出生時の足形は年を重ねるほどに思いが強くなっていくようです。
これからもマイペースで刻書作品を制作していこうと思います。喜ばれる作品を!!
会長 上吉原 薫峰

『刻書』とは、1961年小林石寿(徳太郎)先生(深谷市生まれ)によって考案されました。色彩と彫の陰影を生かした「書」「彫刻」「絵画」の要素のつまった総合芸術です。
板に文字を刻むことは基本的には刻字と同じですが、刻字の刻む文字は平面で文字の線質と繊細さに美を求めることを重視しています。
これに対し刻書は、文字に立体性をもたせることと文字にノミの跡が残るほどの力強い線質を重視するのが特徴です。
文字の立体性とそれに伴う背景のバランスは大きく作品としての価値を左右します。この立体性は光を受けたときに、「光と影」が醸し出す美の付加価値は作品の価値を大きく変化させるものです。

